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【開催報告】国東半島宇佐地域世界農業遺産シンポジウム
イベント・レポート

平成25年10月5日(土)、国東半島宇佐地域が世界農業遺産に認定された意義を住民に理解していただき、今後の活用策などについて考えるためシンポジウムを開催しました。
当日は、約500人の方に来場をいただき、基調講演やパネルディスカッションを通して、今後の取組を進める1つのきっかけとなりました。

日時 平成25年10月5日(土) 10時30分~14時45分
場所 くにさき総合文化センター(アストくにさき) 国東市国東町鶴川160-2
主催 国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会
大分県

プログラム

開会


是永宇佐市長 開会挨拶

林会長 挨拶

広瀬知事 挨拶

縄田 農林水産省農村整備局
農村環境対策室長 挨拶

永田 国連大学シニア・プログラム・コーディネーター 挨拶

末宗県議(大分県議会議長代理) 挨拶

シンボルマーク発表

国東半島宇佐地域世界農業遺産について、親しみを持つとともに理解を深めていただく一助となるよう、シンボルマークを制作し、林会長、広瀬知事により除幕式を行いました。

【コンセプト】
世界農業遺産にふさわしい独自の個性豊かな象徴的なものをねらい、人々がシンボルマークを見たときに、心がホッと安らぐ美しい国東半島宇佐地域の里山風景を感じさせられるものとなっています。
形態としては、農村景観の曲線から発展させて、調和と循環を意図する円の中に、濃い緑=クヌギの葉に見立てた「クヌギ林」、両サイドの水色=「ため池群」、黄緑とツワブキ色=「棚田」、上記3つの連なる風景を色面で構成しています。
今、この地に生きる人々へ、これからの千年も「調和のとれた、美しい生きた風景」を残してほしいとの祈りが込められています。

基調講演

【講師】:パルヴィス・クーハフカン(世界農業遺産基金代表)
【講演内容】:GIAHS認定とその活用について
【講演要旨】
GIAHSというのは国連の最高レベルでもって認められた持続可能な開発プログラムの一部である。このシステムは世界的に見ても、そして国内的に見ても重要なものであり、他では見られない非常にユニークなものである。
また、このシステムは人と環境がお互いに関わりを持ち、相互に尊敬しながら育んできたプロセスの結果である。現在そして未来の世代のために、全ての農業遺産システム並びに食と生計の安全のための多角的な財やサービスを動的保全していくものである。
国によって農業遺産のあり方も変わってくる。それぞれの国で農業遺産が効率的に管理されているため、それについて互いに学びあう、知識を交換し合うことが必要になる。
GIAHSは過去についてのものではなく、将来に残すべきものとして認定されているため、技術が人に合わせる必要があり、人が技術に合わせる必要はない。
社会経済的発展の中で、自然と人間が共栄できるよう、動的保全を求めていくことが重要であり、持続可能な発展のためにGIAHSはそのベースとなるものである。

パネルディスカッション

【テーマ】:「国東半島宇佐地域」における世界農業遺産の活用
【パネリスト】

中野 富司 氏
(中野屋代表、しいたけ生産・加工・販売)【発言要旨】
自分自身の仕事が認められた気がしてとても嬉しく思っている。今までのシイタケは独特の癖があり、なかなか食べづらいという難点があったが、癖をなくして少しでも多くの消費者に食べていただけるよう努力をしてきた。シイタケをブランド化していくことが後継者を育ててていくための基礎になると思っている。
宮本 健真 氏
(リストランテ・ミヤモト オーナーシェフ、 「食の大地・くまもと」世界農業遺産研究会代表)【発言要旨】
GIAHSは文化遺産・自然遺産とは違う。GIAHSは生きる遺産だと思っている。付加価値を見いだすことで農業を保全していかなければならない。地域独特の農業を地域で守ることで、私たちの伝統的な農業を付加価値として守っていき、将来に繋げていくことが必要だと思っている。
神谷 禎恵 氏
(食のコーディネーター、生活工房とうがらし代表)【発言要旨】
大分県には残していかなければならない食文化がたくさんある。食が発達してきた背景には、必ず地域的な特性や文化的な裏付けがある。今回の認定によりますます食文化の重要性が見直されてくると思う。私たちは食を繋いでいかなければならない。次世代に繋いでいくためには、農業と食を関連づけていくことが重要で、農業だけで次世代に繋いでいくことは難しい。農の出口は食にある。食を媒体として、食の切り口から、農業遺産を次世代に繋いでいきたい。
和泉 やす子 氏
(大分県生活研究グループ連絡協議会会長、農家民泊「明朗屋」代表)【発言要旨】
農家民泊を行っているが、土に触ったことのない子どもたちが多く、汗をかいて作業をすることで味わう達成感、また、食料生産現場を見ることで将来の日本のリーダーを養うという気持ちでいつも子どもたちと向き合っている。これからは、生活の中で生まれた価値あるものが行政の枠を超えて、東西の交流が深まれば幸いだと思っている。
三河 明史 氏(国東半島宇佐地域世界農業
遺産推進協議会副会長、国東市長)【発言要旨】
世界農業遺産に認定されて、始めは不思議な気持ちだったが、先祖が知恵と苦労を重ねたシステムが世界に認められたということで非常に誇らしい気持ちである。国東市では、旭日小学校での「ふるさと学習」、シチトウイ工芸士育成、記念物産展の開催、体験型観光である「国東おだやか博」など、様々な取組を始めている。今後は、「ふるさと学習」を旭日小学校だけでなく、各小学校、中学校で行ったり、シチトウイを1つの産業とするために広く取組を進めていきたい。

【コメンテーター】

榎本 雅仁 氏
(FAO 農業生産・保護部 プリンシパル・オフィサー)【発言要旨】
GIAHSは、みなさんが自分たちの活動を見つめ直して学習するための実験室というような形で位置づけられる。自分たちの地域にどのような自然、生態系、伝統的な知識システムがあるのかを見直しながら将来へ引き継いでいくことが非常に大事になってくる。国東半島宇佐地域GIAHSは非常にユニークなシステムである。今日のシンポジウムをきっかけに国際的な協力関係を築いていく上で、大分県からどのような情報を発信していけるかといった点も含めて議論していきたい。
永田 明 氏
(国連大学サステイナビリティと平和研究所シニア・プログラム・コーディネーター)【発言要旨】
世界農業遺産のねらいの一つは、国内外の知名度をあげるということであり、国東半島宇佐地域が日本全国、世界で有名にならなければならない。最終的には、世界的にも貴重な地域の農業・文化・生物多様性を次の世代に着実に受け継いでいくことが重要である。まずは自分たちの地域の良さを見直すため、世界農業遺産の認定をきっかけに、これをテーマとした地域での話し合いの積み重ねが必要である。
奥本 勉 氏
(石川県環境部里山創成室長)【発言要旨】
世界農業遺産認定後、能登では、地元の市町、農林漁業、商工・観光団体とともに、世界農業遺産活用実行委員会を設立して、認定を地域全体で活かす体制を整えた。世界農業遺産に認定されたからといってすぐに観光客が増えたり、農産物が売れたりするわけではなく、世の中が大きく変わることはない。認定された責務を果たすと同時に、如何にそれを活用して、新たな価値を創造するかが重要である。国内認定地域と連携して、相乗効果を発揮し、世界農業遺産の価値と効果がさらに高まるよう努めていきたい。

【コーディネーター】

 

小風 茂
(大分県副知事)【発言要旨】
これから国東半島宇佐地域GIAHSをどのように進めていくか、本日は1つのきっかけとなったのではないか。自分たちの地域が今までやってきたことが本当に自信を持って進めていって良いのだとコメンテーターの方も述べており、パルヴィスさんも自信を持って世界に情報発信してほしいと言われた。今後は、各GIAHSサイトとの交流をさらに繋げていくことが重要である。

 

当日はシイタケの試食も行いました。

当日は、県椎茸農協国東支部婦人部2名の方に協力をいただき、乾しいたけのフライとバター焼きをそれぞれ500食用意し、試食宣伝を行いました。
参加者からは「美味しい」、「こんな食べ方は知らなかった」など様々な反応があり、大変好評を得ました。

会場のようす


認定書・シンボルマーク

パネル展示

パネル展示

右側:写団くにさき写真展示

乾しいたけ試食ブース

シチトウイ工芸品展示

 

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