SCROLL

いつでも帰ってきて欲しいみんなの田舎

MV いつでも帰ってきて欲しいみんなの田舎

のどかな田園風景に囲まれた自宅で、農村民泊と農村レストラン「いっちゃばちゃ」を営む岡野逸子さん。
国東市の施設で料理の仕事に携わった後、10年ほど前に農泊を始めた。
夫の辰造さんは退職後に実家の農業を引き継ぎ、畑仕事をしながら、夫婦で体験学習に訪れる学生と一般のお客さんを受け入れている。

宿泊した子どもたちはご夫妻を、お孫さんと同じように「じっちゃん」「ばっちゃん」と呼ぶ。
広い田舎の家に泊まって、じっちゃんの畑作業を手伝い、近くの海で遊んだり、お寺にお参りしたり。
夕食はばっちゃんと手打ちうどんやカレーを作る。ばっちゃん特製の唐揚げも並び、子どもたちに大人気だ。夜は客間に集まって話したりカラオケを歌うことも。
ふだん家ではしない体験ばかりで「楽しかった」「料理がおいしかった」という声があがる。
一般のお客さんは、ウォーキングがてら逸子さんの手作り料理を楽しみに訪れる人が多い。多彩な野菜料理と新鮮な地魚がお膳に並ぶ。

農村レストランは2人の仲間と一緒に切り盛りしている。旬の野菜と新鮮な魚が何よりの自慢だ。

農村レストランは2人の仲間と一緒に切り盛りしている。旬の野菜と新鮮な魚が何よりの自慢だ。

2年前、自宅横に農村レストランも開き、ランチや弁当を仲間と一緒に作っている(予約制)。野菜は自宅の畑やご近所、スタッフからのお裾分けも多く、味噌や漬物も自家製。お昼の御膳には、旬の野菜をたっぷり使った美しい料理が10品以上も並ぶ。手作りに徹する逸子さんに「たまに料理が面倒になることはないですか」と尋ねたら、「ないですねぇ」と即答。根っからの料理好き、おもてなし好きなのだ。

「農泊は、子どもたちが帰ったらぐったり疲れるけど、楽しかったという声を聞くと、また頑張ろうという気になって(笑)。私たちの生活ぶりを見て、田舎の暮らしも結構いいなと思ってもらえれば。そして都会暮らしに疲れたら、また田舎へじっちゃんたちに会いに行こうかなという気持ちになってもらえたらうれしいです」。世界農業遺産の里をめぐる旅の一番の魅力は、人のぬくもりかもしれない。

丁寧に手作りした品々が並ぶお昼の御膳。ごぼうとパプリカで国東の護摩焚きを表現した「護摩焚きごぼう」(写真中央)が名物だ。

丁寧に手作りした品々が並ぶお昼の御膳。ごぼうとパプリカで国東の護摩焚きを表現した「護摩焚きごぼう」(写真中央)が名物だ。